苦しい気分になる映画だったなぁ。
息苦しいというか、締め付けられる感じとか不自由な感じとか。

これは、絶対正反対な意見の人もいると思う。

「しあわせのパン」「ぶどうのなみだ」の三島有紀子監督の新作。


冒頭、浅野忠信演じる主人公が、前妻との娘・沙織と遊園地で会うシーンから始まる。
「おー、なんか久しぶりにみたなこの演技」というくらいの居心地の悪さを少し感じたけれど、私が浅はかだった。
この「演技」は年4回しか会えない「父娘」の微妙な距離感「気遣い」のことだと思ったのは物語後半になってから。
父は「父」を演じ娘は「娘」を演じて、その時間を楽しいものにしようとする「気遣い」だった。




プラス、浅野忠信演じる主人公は中盤、この優しい顔から違う顔に変貌し、その落差を際立たせているように思った。
さらに、工藤官九郎さんとのシーンは、アドリブのシーンも多いとのことで、後から知り驚いている。

いい映画なのだと思う。わたしとの相性は兎も角。

最初に書いた「いやな気分」というのはまず、この主人公。
この人が結婚した理由が「この人と一緒にいたい」という思いよりも、「家族を築きたい」という少し身勝手にも見える感情が強い気がしたから。
「家族とはこうゆうものだ」というようなのを見せられると、興醒めしてしまう部分があり窮屈に感じる。
また、現妻の奈苗。
妊娠している彼女は今日の検診で「あのね、妊娠高血圧症になりかけているって言われたの。どうしよう~?」と、主人公が彼女の連れ子や家族について悩んでいるときに、言った言葉。これは大変なことではあると思うが、言うタイミングと声のトーンなどの「ズレ」。
この発言により主人公の気持ちは逆撫でされて、観ているこっちも指先が冷たくなるような緊張感あるシーンになる。

このシーンのほかにもちょっとずつ見え隠れする「ズレ」。これが本当に苦手で。
「葛城事件」とか「クリーピー」のようなあのなんとも言えない、価値観とか思い遣りのズレがわたしはどうしても気になってしまうようだ。

実生活で体験する、そのほとんどは笑えておもしろいものに思えてくるものも多いけど、映画の中のソレはなんとももぞもぞと心地悪い。