広島で3人兄弟の真ん中で浦野家の長女として生まれ育ったすず。

天真爛漫でおっとりしている絵が描くことが好きな少女が、大人になり呉市の北條家に嫁入りをした18歳。

1944年から1945年という戦中を市井の目線で描いているアニメーション映画。

— 結論からいうと涙は流れなかった。
「感動」はしていない。「感動」とは違うと思う。

ただ、ぽっかりとした空虚な気持ちがある。

すずさんが、戦闘機が飛ぶ空、爆破する空を見ながら「あー鉛筆持ってくれば良かった…って何考えてるんだ」(台詞はこの通りじゃありません)というシーンがあって、それはすごくわかったんですね。
シリアスな場面のはずなのに、違う事を考えてしまう。というあの感じ。

それから、すずさんが突っ伏して泣くシーン。
わーーー!と感情が頂点になっているはずなのに、水がこぼれたバケツにちらりと目をやる。
あの時のすずさんは、「あー、また水汲んで来なきゃ…」なんじゃないかと思った。

要は「生活」ということはそういう事で、何もかも忘れて「感情」に浸ることはできない。
悲しくてやりきれなくても、「生活」していかなきゃならないのですね。



お婆ちゃんを思い出した。
兄弟を、義弟を戦争で亡くし、結婚した旦那(お爺ちゃん)はあまり働かなかったらしいので、4人の子供を育てるため、 毎日働くしかなかったのだ。悲しくてやりきれなくても泣く暇なんてなかったんだ。
そういう強い女性たちのお陰で、今のわたしがいるんだな。

通勤中、そんな感謝の気持ちを考えていたんだけど、信号待ちで小さなカラスが一羽鳴いていた。
「ナハッ!ナハッ!ナハッ!ナッハー!」
わたしは、心の中で「ナハッって。」って笑った。

もし、テレビやラジオから「この国で戦争がおきた」と流れても通勤中に、カラス一羽に笑わせられるのかもしれない。

良い映画だとは思うけれどこれを観て大人が号泣するというのは、なんだか淋しいなぁと思うのでした。

…こんな感想でいいのか?
こんなことしか言えないなぁ。
はぁ。なんだこれ。
もっと話したいことはあるんだけど、書ききれない。